当プロジェクトについて
虐待に遭った子ども達の心のメッセージ
一般社団法人ソーシャル・アーティスト・ネットワーク(以下、弊団)は、2012年より虐待に遭った子ども達が暮らす児童養護施設での音楽教室・絵画教室・家庭的図書環境構築など、アートを通じて子ども達を応援してきました。
その中で、子ども達と接する際、自身の気持ちや考えを言葉で表現することが苦手で簡単に会話を済まそうと素っ気ない言葉を発したり、ちょっとしたやり場の無い状態になっただけで条件反射的に癇癪を起こし暴力的になったりなど、様々な子ども達の心のメッセージに出会うことが多々ありました。また、子ども達の多くが、高校卒業と同時に施設を退所し就職しても、職場での人間関係がうまくいかず転職を繰り返した挙句無職となったり、表面的な優しさに騙され望まない妊娠・出産後子を育てられず施設に預けたりと、対人的・社会的能力の低さによる社会生活の困難や、いわゆる心の貧困の連鎖に直面しているという実態も施設職員の方から伺いました。
子ども達の課題から見出した「感情基盤」モデル
弊団の活動から、子ども達の課題が見えてくるにつれ、それを概念モデル化しその要素同士が協調連動していくような取り組みが必要と考えるようになりました。 子ども達の感情形成や成長における6つの課題項目から成り立ち、それらが「自己の感情を育てていく力」となるべく協調連動するという弊団考案の「感情基盤」という概念モデルです(図参照)。
【感情基盤モデル】
①感受/感じる力 ある出来事に対して感情を抱く力
②思考/考える力 ある出来事を観察し記憶や体験から関係づけられる力
③観察/観察する力 目で見たある出来事の状況や変化等の情報をより多く集める力
④想定/想定する力 ある出来事や状況を見て自分自身で思いを設定できる力
⑤整理/整理する力 ある出来事に対し混乱している気持ちを整え、きちんとした状態にする力
⑥表現/表現する力 ある出来事の内面的な心情を客観化する力
感情基盤醸成方法の方針
弊団が現在取り組んでいるのは、
( 五感 × 感受 ) + 思考 = 言葉
という、第1ステップです(図参照)。ある出来事から感情が動き出し、そこから考えを重ねていくことで、物の見方が多様化し、気持ちを深めていきます。感情が動きやすい様に、道を発見したり、増やしたり、辿ったりする事が大切であり、その過程を引き出し繋げて言葉にしていきます。具体的な取り組みはこちらまで。
今後の展開として、
言葉 → 感覚性(観察)
→ 展開性(想定)
→ 関係性(整理)
→ 組立性(表現)
という第2ステップを検討しており、言葉から、6つの要素を活用することで、その道を深く広げていきます。
将来的には、第3ステップとして、人生や社会生活において、自分なりの道から他者や自己を認識し、様々なものの見方から消化させ、伝達できることを目指します。
様々なものの見方→価値観・同化・異化・一体化・俯瞰・表裏など
現在、第1ステップに注力しており、具体的な施策はこちらをご参照ください。
既存の取り組みとの差異や特徴などはこちらをご参照ください。