​「かーくん」について

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第1回ソーシャルアート絵本コンペティション最優秀賞作品(テーマ:児童養護施設)


 「かーくん」は私が児童養護施設で臨時職員として働いていた時に出会った子どもたちです。ある架空の男の子に投影し、エピソードをまとめました。かーくんという名前は施設で出会った、忘れられない男の子の名前からつけたものです。施設で生活している子どもたちは一般の家庭で生活している子どもたちより、自己表現がじょうずではなく、大人を試し、本当に愛情を注いでくれるのかをいつも探っているように見受けられました。地域、そして社会全体が彼らを見守っていってくれたら……。たくさんの人たちが「かーくん」のような子どもたちを見守り、味方となって応援してくれることを私は願っています。

 

作者   たに ひろこ


 児童養護施設で暮らす子どもたちの最も重大な問題は「心」です。虐待や育児放棄に遭う等、親の愛情を充分に感じることができていない子どもたち は、自己肯定感や有能感が著しく低下していることが多く、その「心」に自分だけでは対処できない程の深い傷を負っています。その上、18歳で施設を退所し自立を余儀なくされる過酷な運命にもあります。
 この絵本は、このような状況を少しでも多くの人に知っていただくきっかけになることを願って生み出した「絵本」なのです。絵本だからこそ伝えられることがあります。絵本はその物語の中に、在る一時の生きざまを顕します。人は生きていく中でさまざまな環境から多くの人と出逢い、支え合ったり愛情を育んだりしながら人間関係を創りあげていきます。その中で失敗や成功を繰り返しながら他者との触れ合いを感じ、肯定的評価を得られ愛情を感じられることが有能感に結び付くと思います。
 そして、その有能感こそが自分の目標を掲げて行動したり、他者とのさまざまな社会経験の中で本来の自分を認めることに繋がっていくのではないでしょうか。
 絵本だからこそ、伝承としての役割を持ち、多くの方の心に留めることができると思います。人は一生成長していく存在であり、世の中には多様なモノサシがあり、そのモノサシで図り得ることができるのですから。
 どうか、多くの方の心に届きますように願いを込めて、この絵本を捧げます。

一般社団法人ソーシャル・アーティスト・ネットワーク  専務理事 加藤孝子​​

音楽朗読劇「かーくん」

様々なアーティストの協力で絵本「かーくん」が音楽朗読劇となりました!

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東京新聞(川崎版)2013年8月21日朝刊